いきなりだが、皆様は洗浄瓶をご存じだろうか?
理系学徒の皆様なら実験室で一度や二度、いや、いつもお目にかかるあれだ。
そう、精製水や洗剤が入っているソフトボトルみたいなやつ。
文系の皆様でも中高の実験で使ったことがあるかも知れない。
今回はそんな洗浄瓶を”いいぞ”する記事だ。
家で 洗浄瓶を何に使うねん。
と思われる方も多いだろう。
私はもっぱら洗浄瓶をその名の通り洗浄に使っている。汚れたチェーンの洗浄にだ。
便利で楽だから使っているわけではない。
使った方なら分かると思うが、洗浄瓶はどちらかと言えば使い勝手の悪い道具だ。少なくとも私自身はそう思っている。内容物を出すには握力を必要とするし、その握力の割に内容物が排出される速度と量は......あまり速くな、いや遅く少ない。
実験の後片付けで試験管を数十本洗う必要があるときは、とても面倒くさいし、時間も掛かる。
この面倒くささは家庭での皿洗いの面倒くささとはちょっと違う。
実験において試験管を洗う際も、洗剤で洗った後にすすぐのだが、そのすすぎの回数が尋常じゃない。まず水道水で3回ほどすすいだ後、精製水で5回から十回ほどすすぐ。当然だが、この精製水は洗浄瓶の中に入っている。
つまり、すすぐのにそれなりの労力を必要とする。
そしてその労力の割にとても時間がかかる。ある学友はしびれを切らし、洗浄瓶のキャップを外して豪快に精製水を掛けるていたほどだ。(この子意外と豪快なんやなぁと思った。)
だが、私はそんなちょっと不便な洗浄瓶を使う。
ディグリーザーで漬け置きした後、ディグリーザーと隙間に挟まった細かな汚れを洗い流すために。
さっきから洗浄瓶は不便だと散々書くぐらいなら、ホースやじょうろを使えばいいではないか、と思う方もいるだろう。
確かに、使いにくい道具だ。しかし、それなりのメリットがある。だから私はチェーン洗浄に洗浄瓶を用いている。
ところで、私の自転車のフレームはクロモリだ。もっと端的に言えば鉄だ。
そう洗浄時、水で洗ったあとは水気を取らないと錆びるということだ。
ホースやじょうろだと使い方にもよるが、かなりの広範囲に水をかけてしまう。それだけ、水気を取る面倒くさい作業が増えてしまう。だが、洗浄瓶であれば、ピンポイントでチェーンだけに水をかけることができる。その分作業量が減る。そして隙間やコマに溜まっている細かな汚れもよく洗い流せる。さらに、コンパクトで持ち運びがしやすい。私が使用している1Lのものでもそれ程大きくない。(当然といえば、まぁそうなるのだが)
また、欠点が転じて利点となってるところもある。
握力を必要とする割に水の排出量がそれほど多くない。この洗浄瓶の使い勝手を悪いと感じさせる一番の要因が、実はちょっとしたメリットとなる。
それは節水だ。
洗浄瓶を導入するまで1L程の容量があるじょうろを使用していた。だが、思いのほか水を使う。一度汲むだけでは足りず、三度くらい汲んでいた。しかし洗浄瓶であれば、一度水を汲むだけで事足りる。だいたい300~500mLあれば十分だ。初めて洗浄瓶を使ったとき、その節水効果にとても驚いたものだ。使用量を抑制するために、精製水を飲むと腹を下すという都市伝説が流布される程、作るのに手間とコストがかかる精製水が洗浄瓶に入っているのも納得だ。(実際の精製水は飲んでも腹を下さないです。)
確かに使い勝手はいいとは言えない。しかし、それを超える魅力がある。皆様も洗浄瓶を使ってみてはいかがだろうか?ホームセンターであれば、1Lの物が600円台から売っている。理系の友キムワイプと並んで簡単かつ、手頃な価格で入手できる実験器具の一つだ。ホームセンターに立ち寄った際は是非一度手に取って購入を検討してみて欲しい。
(おしまい)